マリリン・モンロー

Img0301

 

                      「イラスト ― マリリン・モンロー(2007年)」

 今回は真夏の猛暑を少しでも涼しく(?)過ごそうと、先日久々に鑑賞した
「ナイアガラ」(1953年)をご紹介します。
(監督ヘンリー・ハサウェイ、出演マリリン・モンロー、ジョセフ・コットン他)

 マリリン・モンローが初めて「モンロー・ウォーク」を披露したという有名な
作品であり、スリリングな内容も評価の高いこの「ナイアガラ」ですが、
モンローのセクシーな魅力はもちろん、タイトルからもお判りのように、
もうひとつ大きな魅力は世界三大瀑布であるナイアガラの雄大で
美しい姿
でしょう! 

 作品を観てまず感じるのは、ドロドロとした人間関係とは全く対照的な
美しく堂々としたナイアガラの存在です。 
また、当時のカラー映像は色あせるどころか、現代のクリアすぎる(?)
カラーを超える美しい迫力を感じさせます。 
そんな凛としたナイアガラをバックに繰り広げられるサスペンスは
シンプルながら印象的なラストを迎え――。

マリリン・モンローの怪しげな(妖艶な?)役柄を楽しみながら、ナイアガラ
の光景も堪能できる本作は、この夏の猛暑からの「逃避」(笑)という意味
からも充分楽しめる映画
だと思いますよ~。
 それにしても、あのモンロー・ウォークがヒールの高さを左右変えただけ、
というシンプルなアイデアから生まれたなんて、さすが!ですね。

 他にも「紳士は金髪がお好き」「百万長者と結婚する方法」
「七年目の浮気」などなど、モンロー主演作品も魅力的な作品ばかり~、
皆さんも今夏、久々にモンローに会ってみてはいかがでしょうか?

                            ― ショーン

ナイアガラ ナイアガラ

販売元:ファーストトレーディング
発売日:2006/12/14
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

かもめ食堂

Dsc00480112      
       「イラスト ― 左より もたいまさこ、小林聡美、片桐はいり」 

                   (敬称略)

 
 最近クラシック映画ばかり見ていたせいか、ここ数年は映画館から足が遠のいて
いました・・sweat02。 なので、先日いくつか最近(?)の邦画を借りてきました。 
今回はその中で印象に残った2006年公開の作品――「かもめ食堂」について話したいと思います。

 当時話題になっていた映画であり、友人からもある程度ストーリーを聞かされて
いた(汗)こともあってか、私自身の中ではすでに「鑑賞した気分」になっていた
この作品ですが、いえいえとんでもな~いっ(大汗)sweat01、今回初めて映像を見るや
たちまち「お気に入り」の作品となりhappy02、DVDも即購入しました!
 やはり実際に自分自身で見ないと何も語れませんね。(←当然)coldsweats01

ヒット作(いつもレンタル中・・す、すごい)ですし、すでにご覧になっている方ばかり
だと思い恐縮なのですが、私の感想(感動?)を今回記事にさせていただきます。

「かもめ食堂」
 ―― 原作は群(むれ)ようこ、脚本・監督は荻上直子によるフィンランド
                                     (首都ヘルシンキ)
     を舞台に旅情あふれる作品に仕上がっています――。

   
     < ここからあらすじ含む~ネタバレあり >

 ヘルシンキの街角に日本レストラン(かもめ食堂)を開店したサチエ小林聡美
は、開店以来いまだ来客のない退屈な日々を過ごしていました。
近所のおばさんたちは店外から窓越しに
            「あの子はまだ子供かしら?」
というような料理への関心どころか興味本位にからかうような態度。
それでもサチエはいつやって来るか知れない「お客様」に備え、食器を念入りに
拭いて準備をしているのでした。

 そんなある日、ふと気が付くと店内へひとりの青年が入っていました。
その青年が「かもめ食堂」の初めてのお客さんだったのです。
        「いらっしゃい!」
サチエは気軽に入ってもらえるように、日本語ではあっても堅苦しい言い回しは
しません。まさに「食堂」にこだわり、誇りを感じているからでしょう。
そして、私だったらどんなにか嬉しく舞い上がる初めての来客の場面だと思い
ますが、サチエはとても冷静でマイペース ―― 大人だなぁ~、と尊敬します。
これは全編とおして感じられる「落ち着き」であり、「ゆったりマイペース」な雰囲気
だと思います。ここに作り手の表現したい“テーマ”があるのかも知れませんね。

 さて、その初めてのお客である青年トンミは日本に憧れる・・
いわば「日本かぶれ」の青年でもあります。コーヒーを注文すると、なんと
「ガッチャマンの歌の歌詞」を知りたい~とサチエにたずねます。
しかしサチエはほとんど知らず(思い出せず)苦笑い・・・・・。
そうですよね、あらためて聞かれると即答が困難なことっていろいろありますよね。
ま、私の場合「もの忘れ」だったりしますが・・・はい。

 それはさておき、サチエは街のカフェで見かけた日本人のミドリ片桐はいり
に思いきって「ガッチャマンの歌詞」を聞きました~、エライ!(笑)
するとミドリはスラスラと歌詞をメモしてくれ、それをきっかけにサチエの家(食堂)
に泊まることになります。 この女性ミドリは、何気に決めた旅行先がフィンランド
だったという異色な設定で、個性派片桐はいりピッタリの役柄ですね~さすが!
ちょっとオドオドするようなキャラを見事に演じてます。
そして自然な流れからか(?)、ミドリはほとんど来客のない「かもめ食堂」を
住み込みでお手伝いすることになったのでした。
こうした感覚や度量の深さなど成り行きとはいえ、これまでの日本人の概念に
とらわれないドライで大陸的なサチエに、違和感どころかほのぼのと自由で
素敵な親しみをさらに感じますね。
いやぁ~サチエはできた人物です、若いのに。(←ヨッパライおやじかっ!)

しかし対照的な日本人の典型キャラのミドリにとって、食堂への来客の少なさに
戸惑います。 まぁ、経営(生活)に関わることですし、当然心配なところですね。
すると集客のためにいくつかメニュー戦略を提案するミドリ。
自然体なサチエは
  「いつか日本食、おにぎりの良さをフィンランドの人達はわかってくれる」
と、そんなミドリの提案に逆に戸惑いますが、地元の食材をおにぎりの具に
アレンジすることへは同意します。
が、試行錯誤の末、結局おにぎりに合う具は梅・シャケ・おかかなんですが
                                          ・・・(笑)。

 さらにメニュー開発に意欲を出す二人は「シナモン・ロール」も完成させます。
                 (おいしそ~~食べてみたいですね)
謎の前オーナーからコーヒーを入れる際の “おまじない” 「コピ・ルアック」
伝授(?)され、メニュー的にも万全となった「かもめ食堂」は次第にお客さんが
入るように~。

 そしてついに第三の日本人、マサコもたいまさこ)とも知り合うのです。
空港で荷物を取り違えられ困っていたマサコは、荷物が戻るまでの間
「かもめ食堂」を手伝うことに――。 これで役者は揃ったのでした。

 最初はからかうように窓越しにのぞいていた近所のおばさんたちも、
いつしか食堂の「常連客」となり、お店はついに満席となるのでした!
そんな和やかな店内の様子を店主サチエは満足気にニコリと微笑み
 素敵なエンディングを迎えます――。

 
 前述したとおり、終始一貫して流れる穏やかで静かな雰囲気――。
大きな出来事やトラブルもほとんどなく進むこの作品は、フィンランドの自然や
観光地を随所に織り交ぜながら、小さな「かもめ食堂」の “成功” までの
プロセスをやさしく見守りセンスよくまとめていました。
   癒されながら鑑賞できる素敵な作品ですね♪

日本食レストランではなく――「食堂」という古くて新しい食文化発信のお店。
外食チェーン店のような派手さはありませんが、これからも地域の人々の食欲
を満たし、温かい交流の場、思い出の場として残していきたい空間ですね。


                            ―― ショーン

 
     
☆ かもめ食堂 (映像 ― 宣伝用)
              
※ エンディングで流れる井上陽水の「クレイジーラブ」
                   もピッタリでいい感じですね♪


Movie/かもめ食堂 Movie/かもめ食堂
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する

☆ 人恋しくて、ゆったりとした時間を求めている方にオススメです♪

 

|

 十二人の怒れる男

Dsc001361
       「 ただひとり“無罪”を主張する8番陪審員 (ヘンリー・フォンダ)」

 
 ご存知の方も多いと思いますが、2009年5月までに日本でも
 裁判員制度が実施される予定です。 
これは、われわれ一般市民が裁判に関わることで司法への理解と関心が高まり、
これまで以上により迅速な裁判が実現されるという効果
を期待する制度です。 
 国民の感覚が反映される
、といった声も大きいですね。

 実は過去にも日本では昭和3年(1928年)から15年間、陪審法による
「陪審員制度」が行われていました。 当時の陪審員は一定額の税金を
おさめた30歳以上の男性から選ばれた12人で構成されていました。
 しかし裁判官が陪審員の出した結論に拘束されることはなかった
 
そうですが・・・。 

  残念ながら凶悪な犯罪が後を絶たない昨今、その犯罪を裁く
裁判も比例し増加傾向にあります。  そのような場面に私たちが
選出され召集される可能性が、今回の裁判員制度の導入により
現実のものとなるのです。 
“その日” がいつ訪れてもいいような心構えは必要かも知れません
なぜなら私たちの評決がその容疑者(被告人)の命を左右する場合が
当然ながらあり、冤罪(えんざい)の可能性もまた
                       ゼロではないのですから・・・・・。

 そうした「人が人を裁く」という 市民による評決を巧みに描いた
有名な映画があります。舞台はほぼ全てが陪審室という一室のみ
――その「法廷もの」とも呼ばれる作品の中でも名作とうたわれている作品、
―― 「十二人の怒れる男」(1957年―監督※シドニー・ルメット
       のあらすじを一部ご紹介しましょう――


   ――― あらすじ ――― (一部)

 
 真夏のニューヨーク――ある法廷で父親を殺したとされる少年の裁判が
行われている。 目撃者による証言が終わり、傍聴していた陪審員たちに
よる最終審議がこれから行われようとしていた。 
法廷から場所を移し、狭苦しい陪審室に集まる十二人の男達。
彼らは今回の陪審のために召集され、互いに顔も名前も知らないのだ。

 ただでさえ暑い真夏なのに、その部屋の扇風機は故障なのか動かない。
 そんな環境も手伝ってなのか、“偶然” 召集された彼らの大半は不満を
あらわに しはじめる。
 ある者は
「子供が親を殺すなんて――いくら弁護したってムダな努力さ。」
 
と言い、またある者は
「今夜ナイターに行くんだ、早く終わらせよう。」と言う。 
「殺人事件の陪審でよかったよ、傷害や窃盗じゃ退屈だからね。」
 
と言う者までいる始末。 こうした無責任な発言が続く――。

 みなそれぞれ職を持ちそれなりに忙しい、早くこの密室から解放されたい
のだ。 男達は検察側の主張に同調し、どうやら “よくある殺人事件” として
「有罪」の評決を出そうと急いでいた。
そして不満をもらしながらも1番から12番まで順番に着席した。
少年の犯罪についていよいよ審議が行われるのである。
 
  ――法律上、十二人の評決の一致が必要である――

 はじめに挙手による決がとられた。 
  「有罪だと思う方は?」 ――11人の手が上がる。
なんと無罪はただひとり、8番陪審員ヘンリー・フォンダ)だけであった。 
有罪とする11人は予想がはずれ、口々に不満と疑問を彼にぶつける。
 「必ずひとりはヘソ曲がりがいるもんだな。」
 「どうして無罪なんだ?」
しかし、8番の男は冷静にこう言う。
 「私が有罪にすると(評決一致で)あまりにも簡単に少年の刑
 (死刑)が決まってしまう。もう少し話し合いたいのだ。」

 すると、あきれ顔の男たち、
 「何を話し合いたいんだ。」
 「100年話し合っても気は変わらないね!」


そしてその8番の男を説得すべく、男たちは順番に「有罪」と考える理由を
 話しはじめる。
 「少年宅の真下に住む老人が犯行時間に物音を聞いている。」
 「犯行時に観ていたという映画の題名を覚えていないなんて
 おかしい。」
 「向かいの窓から犯行を目撃した女性もいるんだぞ!」

10番の男は 「ヤツはスラムで生まれ育ったろくでもないガキだ!」
  
という偏見に満ちた意見すら理由とした。

 それでも8番の男は引き下がらない、そして言う――
 「状況からすると有罪に見える。 でも、もし目撃者の女性や老人の証言が
 間違っているとしたら? ――人間なら間違うこともあるはずだ。」

 彼はもっと慎重に検証したいと言うのである。

――凶器とされるナイフについても再検討することになった。
 「あの晩に少年が買ったと認めているではないか!」
と、 これについても「有罪側」の主張は検察と同じ意見。
そしてそのナイフが部屋に持ち込まれた。
 「誰かが同じようなナイフで刺したということだってありうる。」
と、8番は他の人間の犯行の可能性を語る。
 しかし、「(こんな)珍しいナイフなんだぞ!」と、
 まるで「少年が刺したに決まっている」とでも言わんばかりの
 「有罪派」。


すると、8番は背広のポケットから同型のナイフを取り出しテーブル
 に突き立てた!
 有罪派の陪審員たちはどよめく――
 「おぉ~っ、ど、どこでそれを!」
 「同じナイフがあったとは・・・」
8番は静かに説明する、
――「少年宅の近くの質屋で買ったんだよ。」 と。
またしても彼は少年以外の犯行の可能性を示すのだった。

ここで2度目の評決がとられた。 
 しかし今度は用紙に無記名での投票である。 
 ――結果、なんと無罪を主張する者がひとり増えたのである。 
ひとり増えたことにより有罪派の10人はにわかに動揺しはじめる。 
それは、すぐにでも帰れそうであった“よくある犯罪”の陪審が長期戦に
なることを意味し、そう単純ではない事件の真相に男たちが徐々に
気付きはじめていることを示しているようだった―――。
                   ・
                   ・
                   ・

  この作品では父親を殺した容疑の少年の罪を確定する重要な
立場としての十二人の陪審員たちの熱い議論が描かれています。
 当初、検察側の主張する有罪弁論を指示していた11人の陪審員たち
ですが、目撃者である老人と女性の証言の信憑性に疑問を抱いたひとり
の陪審員の説得力のある推測
からどんどん主張が
ゆらぎます。      ――疑わしきは罰せず――
 ここにこの作品の訴えたいテーマがあるのかも知れません。 
とかく人間は偏見や思い込み、そして状況証拠には意外にもろく
流されやすい
ということを――。
確かな目で冷静に物事を判断する必要性のあることを――。

 これから実施されようとする裁判員制度――私たちは強い信念と問題意識
を持ち、責任の重さを自覚して新制度に臨みたいものですね。

 とはいえ、人間の強さや弱さ、そして正義感と傲慢さなどの
“人間らしさ” がよく描かれているこの作品は、映画として存分に
楽しめるものになっています。 
何度も観ている方はもちろん、未見の方はさらに興味を持ってご覧になれる
と思いますよ~おススメな作品です! 
週末、お近くのレンタル店で早速探してみてはいかがでしょうか?


 ※ シドニー・ルメット監督は子役で活躍し、その後テレビ・ドラマを中心に
制作していましたが、「十二人の怒れる男」で映画界へ初参加――この作品
の ヒットとともに注目を集める映画監督のひとりとなるのです。 
他の主な作品では、「質屋」(1964年)「セルピコ」(1973年)、
「オリエント急行殺人事件」(1974年)などがありますね。


     < 他のおススメ法廷映画 >

 「法廷もの」と呼ばれる作品は意外に多いですね~、
その中でも私がおススメしたい作品をいくつか挙げてみます♪

・  「情婦」(1957年)・・・・・ワイルダー監督の名作。
・ 「評決」(1982年)・・・・・同じルメット監督による作品。
・ 「12人の優しい日本人」(1991年)
   ・・・三谷幸喜 作・演出による「十二人の~」のパロディ。
・ 「アラバマ物語」(1962年)・・・主演:グレゴリー・ペック。
・ 「推定無罪」(1990年)・・・・・主演:ハリソン・フォード。
・ 「真実の行方」(1996年)・・・主演:リチャード・ギア。

 
☆ 今回の選曲はビートルズのラスト・アルバム「アビィ・ロード」から。
   

 ♪ Come Together.

  (言わずと知れた、「アビィ・ロード」のオープニング曲。
 チャック・ベリーの「You Can't Catch Me」の盗作 !? として
 裁判にもなりましたが、後に和解。)

十二人の怒れる男 DVD 十二人の怒れる男

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2006/11/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ☆ 「法廷もの」の代名詞ともなっている名作!
   彼ら十二人の熱い議論の行方は・・・・・!?


 ※ なお、頂いたコメント、トラック・バックは英字スパム対策
   の為(最近多いんです)、確認をさせて頂いてからの
   掲載になります~ご了承下さいませ。

| | コメント (52)

  街 の 灯

Dsc000322
                     「イラスト - チャップリンとヴァージニア・チェリル」

 今年のはじめの映画紹介は、「街の灯(ひ)」と決めていました。
本当はチャップリンの人物紹介を記事にしようと考えていましたが、大好きな彼の記事はとても一回では収まりそうにありませんでした(笑)ので、中でも好きな作品である「街の灯」を取り上げてみました。
 とは言っても、この映画こそあらためてご紹介する必要のないほど有名で感動的な作品ではありますが・・・(汗)。

 「街の灯」が公開された1931年は、サイレント(無声)からトーキー(発声)映画へまさに移行しようとする時期でした。 1920年代後半から始まったトーキーへの怒とうの転換劇は人々の価値観を揺るがす社会現象にまでなり、時代は一気にセリフ音声と音楽が入るという、より表現豊かな作品を生み出すようになるのです。 

 また、1929年10月24日に起こったニューヨーク株式市場での株価大暴落ブラック・サーズデー)――世に言う「暗黒の木曜日」により経済不況が始まると、やがて世界大恐慌へと広がるという混乱した時期でもありました。 
 (実際、「街の灯」の撮影中にこの株価暴落は起きています)

 そんな時代背景の中、チャップリンはかたくなにサイレントへのこだわりをみせますが、時代の大きな動きの中でさしもの彼もこの作品から一部音楽や効果音を挿入し公開に臨んだのでした。 
 もちろん、不況の影響である失業者の増加という社会風刺もチャップリンはシニカルに表現していますね。

 さて、この「街の灯」をご覧になっていない方は少ないと思います。 おそらく30代以上の方であれば、一度は観た記憶があるのでしょう。 (もっとも、10代の方であれば別ですよ~)
今回はぜひ、全体を通したあらすじでご紹介したいと思います~。
 

 
 原題――「City Lights.」 というタイトル表示の後、「平和と繁栄」というなんとも皮肉っぽい(笑)記念碑の除幕式のシーンから映画は始まります。
 幕が上がるとなんとそこには主人公の チャーリー(チャップリン)がその記念碑で居眠り中~~当然、式典は混乱し(笑)いつものコミカルなチャップリンがいきなり魅了してくれます。

 その日の午後、通りへ繰り出したチャーリーは街角で盲目の花売り娘(ヴァージニア・チェリル)と出会い、彼は美しく健気なその娘にたちまち恋をしてしまうのでした。

その夜――埠頭で腰をおろすチャーリーの前で酔っ払って飛び込もうとする自殺志願(?)の男をなんとか助けたことから知り合いとなった二人は、意気投合して男の屋敷へ向かいます。 
 そう、その自殺志願の男は大金持ちの主人(ハリー・マイヤーズ)だったのでした。 しかし気前のいい彼と友達になったとはいえ、酔いがさめると別人のような人格となるタチの悪い人物でもありますが・・・(汗)。

 さて、花売り娘のことが気になるチャーリー、彼女が経済的に苦しいという事情を知り、手助けをしようと街の掃除の仕事に就きます~必死に金持ちな紳士を演じようとするのです。 
ある日の昼休憩に娘の部屋に行き、買い物してきた食材を届けます。 そしてそこで、“ある医師が盲目の治療に成功” という新聞記事を目にするのですが、同時に 視力を回復したいという彼女の願いもチャーリーの胸に響くのでした。
また、明朝までに家賃を納めないと立ち退きとなる切羽詰った状況も知るのです――

 しかし職場へ戻ると始業時間に遅れてしまい、あえなくクビとなってしまいます。
そこへ荒くれ者の集う裏社会のボクサーへの勧誘があり、チャーリーはその夜試合に臨むことになるのですが・・・結果はノックアウトされてしまいます(汗)。
ここでのチャップリンのムチャクチャなボクシングがまた素晴らしいですね~、殺伐としたリング上で真面目なのかふざけているのか分からない天性の動き(!)で相手を翻弄します。
このシーンだけでもとても有名で印象的な場面~こんなボクシングの試合はいまだかつて見たことない・・・というより今後もないのでしょうね(笑)。

 その後チャーリーは再び酔っ払った金持ち主人宅に戻り、1,000ドルという大金を工面することができますが、運悪く侵入してきた強盗に遭うのでした。 しかも駆けつけた執事に疑われたチャーリーはなんとかその場を逃げ切り、娘に大金(目の治療費)を手渡すことに成功します。 
ところがその帰りにチャーリーは警察に捕まってしまうのでした。


 時は流れ季節は秋―――刑務所から出所したチャーリーは久々に街へ向かいますが、相変わらず子供たちにさえバカにされてはからかわれる始末。 
そんな彼はふと、街角にオープンしていた「花屋」に気付きます。
 なんとそこには―――
      あの花売り娘が店を持ち立派に働いていたのです!

 その少し前、偶然にも花屋の店内ではその娘が祖母に、“親切でまるで王子様のようなあの恩人の紳士との再会を期待する” ような雑談をしていたばかりでした。  そんなこととは露知らず、 立派になっていた娘に見とれるチャーリー・・・
彼の脳裏には、それまでのさまざまな出来事と想いがよみがえっていたのでしょう。
そしてここでもそんなチャーリーに対する残酷なまでの娘のセリフが用意されます――「この人、私に気があるのよ!」 
                         (そ、そんな・・・)
ただ救いなのは、窓越しであるためこの言葉はチャーリーへは届いていないことでしょうか・・・(もちろん、娘も悪気はないのですが)

 娘はそのじっと見つめる “浮浪者” を哀れんで、一輪の花と小銭を手渡そうと外へ出ます。
そして彼の手に触れた瞬間、「ハッ!」 と彼女は気付くのです!
 懐かしいあの手の感触~みるみる表情の変わる娘・・・・・
      
      娘 「あなたでしたの?」

 チャーリー 「見えるようになったんだね?」

      娘 「ええ、見えますわ・・・」

   チャーリーのはにかみながらも見つめる優しい笑顔――
   娘の一瞬の戸惑いのあとの全てを悟った安堵の表情――


それは、治療して戻った視力だけでは見えなかった彼の本当の優しさを感じた素晴らしい場面であり、映画史に残るラスト・シーンでした。 ~どうしても涙があふれますね。
まさに、街角に咲いた一輪の花であり「灯り」だったのかも知れません。
 (その後の二人の展開はもちろん分かりません、我々それぞれの感性でストーリーをつなげていきましょう~)

 時代に翻弄され、浮浪者であっても人間としての誇りと優しさをしっかりと備えたチャーリー。(いきすぎた行動もありましたが・・笑)
弱者に対する無償の愛と援助の実践は、現代に生きる我々へ強烈なメッセージを投げかけます。
 
喜劇役者として出発したチャップリン――社会風刺やヒューマニズム、そして人間愛を満載した彼の数々の作品は、今なお、そしてこれからも世界中の人々に深い感動を与え続けることでしょう。
 まさに20世紀の映画界が生んだ不世出の天才なのです―――

 Dsc003071

      ―― あとがき ――

 天才チャップリンの他の作品も感動的で味わい深いものが多いですね~、どれも好きですが、中でも「黄金狂時代」「モダン・タイムス」、そして異色の(?)「殺人狂時代」「独裁者」などなど、不朽の名作揃いです!
彼の制作にかける意気込みは並々ならぬものがあり、ワン・シーンに数時間~数日をかけることもしばしば・・・といったエピソードも数多く、完璧を求めるそのこだわりの込められた中期を代表する
 チャップリン渾身の傑作――「街の灯」でした。



☆ 今回の選曲は、はにかみ屋でなかなか本心を伝えられない
 チャーリーの心境 !?

   P.S. I Love You.

 (初期 ビートルズのセンスあるハーモニーが魅力!)

   

街の灯 DVD 街の灯

販売元:ファーストトレーディング
発売日:2006/12/14
Amazon.co.jpで詳細を確認する


☆中期チャップリンのエッセンスが凝縮された渾身の傑作!
   感動のラスト・シーンを何度でも感じて下さい♪


 ※ なお、頂いたコメント、トラック・バックは英字スパム対策
   の為(最近多いんです)、確認をさせて頂いてからの
   掲載になります~ご了承下さいませ。



  

| | コメント (56)

 素晴らしき哉、人生!

Dsc00002_sh012        「イラスト - ドナ・リードとジェームズ・スチュアート」    
    

もうすぐクリスマスです――毎年アメリカではこのシーズンになるとテレビ放映されるという映画があります。 巨匠 フランク・キャプラ監督の1946年作品 「素晴らしき哉、人生!」です。
(※イタリア出身のキャプラ監督は、ハリウッド全盛時に「或る夜の出来事」(1934年)や「スミス都へ行く」(1939年)などのヒューマニズムや社会風刺を表現した作品で知られる。)

 ではなぜクリスマスにアメリカ国民が好んで観る映画なのでしょう~それは、ご覧になった方は納得ですね!
未見の方はこの機会にぜひ、この素敵な作品を大切な人(家族や恋人)とご覧になってみてはいかがでしょうか――

 
    ――― 簡単なあらすじ ―――

 楽しいはずのクリスマスの夜、ジョージ(ジェームズ・スチュワート)というひとりの男が川へ投身自殺しようとしている。 一方、はるか上空の天上界では天使達がそんな彼を見つめていた。
 
 <ここで場面はこの男ジョージの幼少時代からの半生の回想へ>

 ある冬のソリ遊びの最中、誤って冷たい池の中へ落ちた弟を助けたことでジョージ少年は左耳の聴力を失ってしまう。 また、薬屋で仕事を手伝うジョージは、店主の間違った処方に気付き危うく大事になるところを救うといった誠実で優しい少年だった。

 やがて成長したジョージは急死した父の営む住宅金融業で働くが、町には同業いじわるな資産家ポッター(ライオネル・バリモア)が圧力をかけてくるのだった。
そして、ある年のクリスマス――叔父のビリー(トマス・ミッチェル)が8,000ドルという会社のお金を紛失してしまう。 どうしてもその穴埋めを出来なくなったジョージは、人生に絶望して橋のらんかんに立つのである・・・・・

 そんな時に、まだ翼のない二級天使のクラレンス(ヘンリー・トラヴァース)と出会うのだった―――    


 
その誠実で優しい性格ゆえ、ジョージは幼少から貧乏クジを引くようなまるでツキに見放された人生でした。 これでもか、これでもか~と遭遇するさまざまな問題に、観ている我々も一緒に挫折感を共有してしまうほどです。 また、この度重なる厳しい現実の連続には、同情を越え憤りを感じるかも知れません(!?)。

その後、絶望し橋のらんかんに立つ彼には二級天使との出会いが訪れます。 
しかし、天使はそう簡単に彼を光のさす方向へ導くわけではありません。 
二級天使クラレンスはいかに絶望したジョージに笑顔を取り戻そうとするのか――ここからがこの映画のメイン・テーマなのです。 

 この作品の素晴らしいところは、単に人生の大切さをうたっていることではなく、その生の根底にある意味を表現しているところにあります。 
 ひとりひとりの人生が、かけがえのない存在であるということを

 また、誠実で優しい人間が救われるのだ~という安易な結末に進むことなく、人々に考える時間を設けたひねりある演出も見事。


 殺伐とした事件や出来事が増加傾向の現代では、なおさら重要な “生” というテーマ。 生きることの素晴らしさと重要性を一人の
主人公の人生をとおして我々に投げかけるキャプラ監督のこの作品は、一人でも多くの方に観てほしい映画のひとつですね~。
 そう、この映画はクリスマス・シーズンだけではなく、いつでも
  希望を与えてくれる素敵な作品なのです!



   It's a Wonderful Life.

   
☆ ジェームズ・スチュアート関連記事~「裏窓」

 

☆ クリスマスにおススメの他の作品では、

  ◎ 「三十四丁目の奇蹟」(1947年)
  ◎ 「34丁目の奇蹟」(リメイク版―1994年)
  ◎ 「ホワイト・クリスマス」(1954年)
  ◎ 「ジングル・オール・ザ・ウェイ」(1996年)
      などなど、どれもほのぼのとした作品です!

 ♪今回のリクエストは数あるクリスマス・ソングの中でも
     やはりジョン・レノンのこの曲です~~~♪

 ☆   Happy X'mas. (War Is Over.)

    
(毎年この時期になると街中からこの曲が聴こえてくるという  ~ 今やクリスマス・ソングの定番ですね♪)

 

素晴らしき哉、人生! DVD 素晴らしき哉、人生!

販売元:ビデオメーカー
発売日:2005/01/10
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 ☆ 何かに挫折した時、この作品を観ると気持ちが落ち着く素敵な作品です!


※ なお、頂いたコメント、トラック・バックは英字スパム対策
   の為(最近多いんです)、確認をさせて頂いてからの
   掲載になります~ご了承下さいませ。

| | コメント (55)

 裏 窓

Dsc000631
  

     

       「 窓から見えるのは悲喜こもごもの人々の暮らし・・・だが・・・」

今回は、先週の記事で紹介した女優――グレース・ケリー出演作より 「裏窓」の紹介です。
 「裏窓」はグレース・ケリーがヒッチコック作品へ出演した三作品
(他に「ダイヤルMを廻せ」「泥棒成金」)の中の二作目、1954年公開作品です。 (グレース・ケリー記事参照
当時女優として絶頂期(結果的にですが・・)であったグレースの魅力が凝縮されたヒッチコック・マジックによる傑作サスペンスです。 

 とあるアパートの一室という限られた空間から展開される巨匠ヒッチコックお得意の設定は、この作品を観ている観客すべてを主人公と同じ目線に引き込む臨場感を生み出していて、それはあたかも
“隣人観察”(のぞき !?)の共犯にされているような・・・・・(笑)。

 
  ~ あらすじ ~  (一部ネタバレあり)


『  
――― 真夏のニューヨーク、グリニッチ・ヴィレッジの一角のとあるアパートの一室―――その部屋は2階ということもあり、窓からは中庭を中心に建つ4棟のアパート全体を眺めることが出来る。
 少し前のカー・レースの取材中の事故で左足を骨折していた
報道カメラマンのジェフ ジェームズ・スチュアート)は、その部屋から療養中の退屈しのぎに “隣人観察” をいつしかするようになっていた。
 
 はじめは何気に眺めていたジェフだが、次第に近隣住民たちのそれぞれの暮らしぶりを把握するようになる。 プロ・アマ問わず芸術家たちの集まるその地域の特性から、どうやら住人たちもさまざまな個性を持っているようだ。 
 薄着でバレエを練習するセクシー女性や悩める作曲家、そして
前衛的な作品を創作する彫刻家新婚夫婦もいれば暑さしのぎにバルコニーで寝る中年夫婦もいる。 他にはいつも喧嘩のたえない夫婦や寂しそうなひとり暮らしの女性など十人十色の事情や生活があり、ジェフは無意識に関心をもつようになるのである。

  もちろん、彼自身も恋人リサ グレース・ケリー)とは最近
 “しっくり” としていない事情もあった。
リサは若く美しいファッション・モデルであるが、年の離れたジェフにとても献身的だ。 
しかし、そのリサの結婚願望を見抜いていた彼は少々困惑している。 彼女にはもっとふさわしい相手がいるだろうに・・・と思いつつも、これまでの生活スタイルを変えたくない心境でもあるのだ。 
 そうした二人の温度差がしっくりとしない原因のようである。

 そんなある日、いつものように “隣人観察” をしていたジェフはある異変に気付く。 いつも口論ばかりしていた夫婦の様子がおかしいのだ。 そのサラリーマンの夫は、深夜に大きなトランク・ケースを運び出したり、包丁とノコギリを新聞紙に包んだりと不可解な行動・・・・・何よりその頃から彼の妻を見かけなくなっていたのだ! 

 そんな奇妙な状況を日中ジェフの世話で訪れる看護婦ステラ
セルマ・リッター)やリサに話してみる。 
はじめは半信半疑だった二人も、ジェフの真剣な説明や推理を聞くうちに “疑惑” を抱くのであった・・・・・・・・      



 暇つぶしに何気なく近所を眺めていた主人公ジェフですが、普段と違う光景に気付いた鋭い視点は、さすがに現役の報道カメラマンだったからでもあったのでしょう。 そして、その疑惑の夫の不自然な行動の一つ一つの断片が、やがて彼に “ある確信” を持たせることになるのです。 そんな中でも、セクシーなバレエ・ダンサーを「ミス・グラマー」、そして寂しい一人暮らしの女性を「ミス・ロンリー」、と勝手にネーミング(笑)するといったヒッチコックらしいユーモアも感じさせます。 

 この作品の特徴のひとつとして、個性ある住人たちのそれぞれの暮らしぶりが違和感なくきちんと同時進行していて、さらにリアル感を高めているところがありますね。
また、この映画にはほとんど効果音やBGMが流れません。 
本当に窓から眺めたままの自然な音が聞こえてくるのみです。 
 作曲家の部屋から流れるピアノ演奏や子犬の鳴き声、そして
かすかに聞こえる通りからの音・・・・・
 まるで自分がその部屋に住んでいるような錯覚に――― 。

 驚くことに、実はこれらのごく自然な街並みをヒッチコックはセットとして撮影スタジオに設営していたのです。 まるで本物と見間違うほど精巧な街並み~~~全てはセットの中での世界だったとは!(驚) メイキングを見るまで気付きませんでした~(笑)。
DVD特典のメイキングやインタビューの中で詳しく述べられているのですが、当時のスタジオではアパートの高さが不足するというので、地下1階の床をはがして「地上」にしたといいます。   また、
朝・昼・夕方・夜という4つの照明効果で微妙な時間帯を表現!
                (あの当時に・・す、すごいっス)

 このヒッチコックの綿密な制作計画と絶妙なカメラ・ワークは見事というほかなく、撮影したテープには無駄なシーンはほとんどなかったといいます。 
そして言うまでもなく、ジェームズ・スチュアートの落ち着いた貫禄ある演技やグレース・ケリーの愛らしく活発な役柄、そして名脇役セルマ・リッターや住人たちの自然な演技すべてが素晴らしく、
まるでヒューマン・ドラマを思わせるほどの人間模様を描いた
 サスペンス
の傑作を生み出したのでした。 

 残忍な凶行のシーンは一切なく、状況証拠のみでクライマックスにつなげる手法はある種ヒッチコックの美学であり、実験好きな彼の映画への可能性を広げる試みのひとつでもあったのでしょうか。 ラスト・シーンでは思わぬユーモアにも出会いますよ~(笑)。


 主人公のジェフがのぞき(笑)、いえ “隣人観察” の中 ある日
疑惑を抱き、巻き込まれた “犯罪”・・・・・ しかし、それらを通して
彼が本当にあらためて「発見」したのは、リサというかけがえのない大切な存在だったのでしょう――――


 ~ あなたの “ 窓 ” からはどんな光景が見えますか? ~

Dsc003081

 

 ―― あとがき ――

 何年ぶりか(何十年?・・笑)でふれたヒッチコック作品ですが、
あらためていろいろな発見をすることが出来ました。 やはり映画とは、同じ作品を時間をあけて何度も鑑賞することが大切でしょうし、それに堪えられる作品こそ名作と呼ばれるのでしょうね~。
他にもヒッチコック作品の傑作は目白押しで、「バルカン超特急」、「疑惑の影」、「ロープ」、「ダイヤルMを廻せ」、「めまい」などなど・・・機会があれば記事にしたい作品ばかりなんです(汗)。 


 
 ビートルズ主演の二作目の映画もスリルとサスペンス、そして
コメディ色の強い(笑)作品でした。 
      その映画「HELP!」からの選曲♪

 ☆ Tell Me What You See.
 (比較的目立たない曲ですが、彼らのコーラス、ヴォーカルの
  魅力たっぷりの佳曲ですね)

ダイヤルMを廻せ! 特別版 DVD ダイヤルMを廻せ! 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/10/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆ 「裏窓」や「泥棒成金」と並んで人気の高い
   グレース・ケリー出演作。
 巨匠ヒッチコックのアイデア満載の密室トリック・・・
   レイ・ミランドの好演が光ります! 
 


※ なお、頂いたコメント、トラック・バックはスパム対策
   の為(最近多いんです)、確認をさせて頂いてからの
   掲載になります~ご了承下さいませ。




 

| | コメント (44)

 グレース・ケリー

Dsc001321
    ここしばらく  「古きよき映画」を鑑賞しています。 読書とともに、秋の夜長には最適な時間の使い方かな?と、最近ハマッテるんですよ(笑)。
鑑賞するのは前回の記事の「嵐が丘」のような「名作」と呼ばれる作品が多いのですが、もちろん未見であった映画にもふれたりして「発見」を楽しんでいますね~。 
     「イラスト - 裏窓の頃のグレース」

でも、何度も観ているはずの作品でさえもあらたな発見があったりすると、私も歳をとったのかなァ?(笑)と複雑な気分にもなりますが・・・(汗)。

 今回は、オードリー・ヘップバーンヴィヴィアン・リーと共に大好きな女優~グレース・ケリーについてご紹介したいと思います。
 
 グレース・パトリシア・ケリーは1929年11月、アメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィアで生まれました。
父は建設業で財を成し、母はモデル経歴のある美人という裕福で華やかな家庭で育ちます。 幼少期からダンスやバレエ、ピアノを学び、高校卒業後はニューヨークのアメリカ演劇アカデミーに入学します。 

 1949年にブロードウェー「父」の端役で舞台出演中に「20世紀フォックス」から声がかかり、1951年「14時間」で映画デビューを飾ります。 さらに、その作品を観ていたスタンリー・クレイマー監督(「シラノ・ド・ベルジュラック」や「招かれざる客」などで有名なニューヨーク出身の監督) により、1952年の「真昼の決闘」のヒロイン(主演のゲイリー・クーパーの若妻役)に無名のグレースは抜擢されるのです。 
翌1953年には「モガンボ」クラーク・ゲイブルエヴァ・ガードナーと共演―――女優として順調なスタートでした。

 しかし、女優・グレースの名を不動のものにしたのは1954年からのアルフレッド・ヒッチコック監督作品への出演でしょうね~。
 ヒッチコックはクール&ビューティーな彼女をとても気に入ったそうです。(みんなそうでしょうけれど・・)
彼の作品へは3度出演しました~「ダイヤルMを廻せ」「裏窓」「泥棒成金」と、サスペンスではあってもヒッチコック独特のユーモアやロマンスを絡めたこれらの作品で、グレース・ケリーの魅力は開花し人気は高まるのでした。 (「裏窓」記事参照

 「裏窓」での有名な暗がりからの彼女のアップ(美しい・・・)、「泥棒成金」での花火のシーンやスリルあるグレースのドライヴ・シーン(これは複雑な心境にもなりますが)など見所満載な傑作ですね。 (もちろん、ヒッチコック作品はどれも傑作揃い!)

 とかく美貌が注目されたグレースですが、女優としての演技力を証明することになる作品も同時期に発表されました――
  「喝采」(監督:ジョージ・シートン)です。
1954年度のアカデミー主演女優賞を見事獲得したこの作品は、ドキドキするストーリー展開もさることながら、グレースはもちろん、
ビング・クロスビーウィリアム・ホールデンの表情豊かな演技が素晴らしく、もっと注目されてもいいのでは~と思う作品のひとつです。

 そして、この「喝采」がカンヌ映画祭で上映されるため、1955年3月にグレースは南フランスを訪れます。 まさかそこで彼女のその後の人生を左右する「出会い」があろうとは誰も知る由もなかったのです・・・・・

 フランスの雑誌の企画が縁で、モナコ公国大公のレーニエ三世と運命の出逢いをするのです。 二人の間には稲妻が走り(笑)、とんとん拍子に翌1956年4月、世界から注目され祝福をうけながら二人は2日間にわたる挙式を行いました。

 名家のお嬢様~ハリウッド女優~そして王妃というまさに
“シンデレラ・ストーリー” を実現したグレースは、「上流社会」
(監督:チャールズ・ウォルターズ)を最後に女優を引退し、「世紀のロマンス」と呼ばれたモナコ公国の王妃として第二の人生を歩み始めるのです。  
 こうして幼少から敬愛する父親に認められたかった、という彼女の願いはモナコ王妃となったことで達成されたのでしょう。 

 当時この結婚はモナコの財政難を打開する(観光地として外貨を得る)政略結婚と揶揄もされましたが、実際にはグレースは本当にレーニエ公を愛し、3人の子供にも恵まれ幸せだったと言われています。 当初はモナコの公用語であるフランス語が話せず、なかなか王室でもなじめなかったという彼女ですが、出産を機にどんどんと慕われるようになったそうですね。 (成長する子供たちの所業など教育面で悩む時期もありましたが)
 モナコの母でありたいと公務も順調にこなし、懸命に王妃としていそしむ姿――それは父親や夫、子供たち、そして国民から認められ愛されたかったという純粋な想いであり、幼少から抱いていた
裕福さの影にある孤独感からくるものでもあったのでしょうか。

 
 映画界から離れたあとも、彼女の話題が誌面を飾ることもありました――グレースが長女を妊娠中にお腹を隠したバッグ(エルメス)が注目され、ケリー・バッグとして有名になるのです。 
また、モナコ・バレエ団を設立し、モナコの芸術や文化の発展に
尽力するなどのニュースは、彼女が立派な王妃として国民から
信頼され愛されている結果を証明した素敵な話題でした―― 。

 1982年9月、突然彼女の人生の幕切れが訪れます。 
次女のステファニーとドライヴ中、運転を誤って崖から転落するのです・・・・・
 そして、意識が回復することなく翌日亡くなってしまうのでした
                       ――享年52歳
 当時、いろいろとささやかれた(心臓発作? ステファニーが運転していた? など)この事故も、解明には至っていないようです。
 
映画作品としては十数本というわずかな出演作でしたが、彼女の女優として絶頂期のそのクールでエレガンスな美貌や演技は、
スクリーンに、そして映画史にしっかりと刻印されたのです―― 。

 
 記者   「 生まれかわるとしたら、何になりたいですか?」

 グレース   「 う~ん、犬がいいわ。 気楽そうだもの。」


              (結婚後のあるインタビューで)




 ※ ちなみに、1929年生まれのグレースはオードリーとも同い年です。 また、オードリーが1951年にモナコのモンテカルロでのロケ中、コレット女史に見初められたこともあり、意外にシンクロしていて接点があるような・・・(ないような・・笑)。

 「裏窓」でのグレース・ケリーの役名は “ リサ ” 、とても活発で
愛らしい演技でしたね!
ということで、今回の選曲は「サージェント・ペパーズ~」から、♪

☆ Lovely Rita.  
  (って、“ リタ ” やん! くるし~わっ !!! ・・・反省中)

スクリーン・デラックス イングリッド・バーグマン&グレース・ケリー―永遠の2大クール・ビューティーズ Book スクリーン・デラックス イングリッド・バーグマン&グレース・ケリー―永遠の2大クール・ビューティーズ

販売元:近代映画社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ☆ “クール・ビューティー”を代表する2大女優の写真集!



 ※ なお、頂いたコメント、トラック・バックはスパム対策
   の為(最近多いんです)、確認をさせて頂いてからの
   掲載になります~ご了承下さいませ。



  

| | コメント (40)

 嵐 が丘

Dsc000621
     

            

            「イラスト - ローレンス・オリビエとマール・オベロン」

 今回は、これまでずっと観たい映画だったのに観ることのなかった名作
 ――「嵐が丘」をご紹介しましょう。 (一部ネタバレあり?)
 イギリスの小説家であり詩人のエミリー・ブロンテ――
(1818-1848 :姉シャーロットと妹アンのブロンテ姉妹として有名)
の原作であるこの小説は、彼女の唯一の長編小説でもあります。 
これまで7度も映画化された古典文学ですが、中でも最も評価が高いと
される1939年公開の、巨匠ウィリアム・ワイラー監督の「嵐が丘」に注目
したい
と思います。

 原作の雰囲気そのままに、終始一貫してミステリアスな空間の中で展開
されるストーリーは、ラヴ・ロマンスでありサスペンス的な要素も併せもつ
ある種 異様な作品
に仕上がっています。 先週、念願かなって(汗)鑑賞
したのですが、私の多少の予備知識など吹き飛ばす見事な名作でした。
 そして、憧れだった原作(新潮文庫)も並行して数日かけて読んでみました。
            (700ページのボリューム!) 
 原作はさらにどろどろとした感情が描かれており、映画の印象の方が
個人的には好きなのですが・・・・

 さて、ワイラー作品に話は戻りますが――この「嵐が丘」、ストーリーの巧妙さ
はもちろんのこと、何と言っても主役であるヒースクリフ
             ――ローレンス・オリビエスゴ味のある演技は特筆ですし、
ヒロインのキャサリンを演じるマール・オベロン絶妙な表情など、時を
感じさせない輝きを放っているのです・・・・・


     ~ あらすじ (オープニングのみ) ~

 『 19世紀中ごろの北イングランド――とある荒野の丘に建つ
一見すると廃屋のような屋敷に吹雪で道に迷ったひとりの旅人が助けを求め
玄関の扉を開ける――屋内であっても館の中は暗く寒々しい――と、番犬が
荒々しく吠えたてる先には、この館の住人達が暖炉の前でひっそりと
座っている、が一人だけ立っていた険しい表情の男
               ――その男こそ館の主人、ヒースクリフであった。
                         (ローレンス・オリビエ)

 旅人は一晩の宿泊を願い出る――無愛想な主人は不機嫌そうだが了承
してくれた。 荒れすさんだ2階へ通された旅人は、そうして疲れきった身体を
やっと休めることが出来るのだった。 
だが、強風によりバタバタと打ちつけられる雨戸が気になりなかなか寝付けない。
 男は雨戸に手を伸ばした――
すると、漆黒の吹雪の中から かすかに女の声がしたのだ

   「ヒースクリフ・・・中に入れて・・ヒースクリフ・・キャシーよ・・・」

  と同時に男の手につめたい「何か」が触れる!!

   「た、助けてくれっ! ヒースクリフ!」

  驚いた男は尋常ならぬ悲鳴をあげる・・
  ヒースクリフが何事かと入って来た、
  男は言う  
   「た、たしか・・・キャシーと言っていた」
   「何だと?」 血の気の引くヒースクリフ――
  すると吹き付ける雪風にかまわず窓を開け、

   「キャシー・・戻ってきておくれ・・・キャシー・・俺の・・・」

  とりつかれたように暗闇に向かって語りかけるヒースクリフ。 
  そして、荒れ狂う嵐の中へ飛び出して行くのだった――。


  まるで事情の分からない旅人、
   ~「外へ出て行ったぞ!どうかしてる・・・」
  使用人(家政婦)のエレンは何か思いあたる事でもあるかのよう に
   “仕方がない” といった表情――
    そして静かに語り始めるのであった・・・
     
   「今から40年も前のこと・・・・・」

 その後、徐々に明かされていく過去の出来事――
それは、誰もが驚がくするほどの波乱に満ちた愛憎劇だったのである・・・・・ 』

    ~と、簡単ですがこんな感じでよろしいでしょうか?(汗)


 この物語の主役であるヒースクリフとキャサリン(キャシー)は、身分の
全く異なる二人
でした。ヒースクリフは幼少の頃、当時屋敷の主人だった
アーンショーに拾われたジプシーの子。 キャサリンはアーンショー家の
お嬢様だったのです。 この身分の違いがその後さまざまな困難を作り出し、
二人の人生をも翻弄するのです。

 しかし、そんな身分違いの二人にはある共通の「場所」がありました。
屋敷から少しばかり離れた丘の上にある「ペニストン岩」――
唯一そこは一緒でいられる『二人のお城』なのです。彼らは周囲の
目から逃れては、その「お城」でたびたび密会するのでした・・・。
 また、ヒースクリフには身分以上にやっかいな障壁がありました。 
それはキャサリンの兄でありアーンショー家の長男ヒンドリーからの冷酷
なまでの扱いです。 ことあるごとにヒースクリフを毛嫌いし侮辱するヒンドリー、
――しかしキャサリンへの日々募る想いでそんな冷遇にも耐えることが
 出来たのですが・・・・・ 

 あとは皆さんご存知の(!?)スリリングな展開ですね~、もしもまだ未見
の方で少しでも興味を持って頂けたのでしたら、この機会にぜひご覧になって
みてはいかがでしょうか。 
 文才があればもっと魅力的な紹介や解説が出来るのですが、私の拙い文章
ではこれが精一杯でしたぁ~あしからず、です(笑)。 

  果たしてその結末に待っているのはハッピー・エンドか否か!?

未見の方はご自身の目で行く末を確認されて下さいまし~。

 さて、ヒースクリフを見事に演じたローレンス・オリビエですが、
その後ご存知のとおりヒッチコック監督「レベッカ」に主演、そして
「ヘンリー五世」「ハムレット」といったシェイクスピア文学作品(映画)での
成功
で不動の地位を確立します。 
1960年の「スパルタカス」(監督:スタンリー・キューブリック)でのローマの
将軍クラッスス(クラサス)役での強烈な存在感は、すでに「嵐が丘」でまだ
30過ぎのオリビエにその片鱗を感じるほどです。 
 また、ヴィヴィアン・リーと結婚(のちに離婚)するなどの話題でも有名に
 なりましたね~。  (「風と共に去りぬ」記事参照

 端正な顔立ちを持ち、これほどのスゴ味と憂いを備えた俳優は、ある意味
あのジェームス・ディーンと並ぶ突出した存在だったと思います(私としては)。
 奇しくも二人は、欧米の俳優の中では小柄とも感じる同じ身長の
5フィート10インチ(約178センチ)。 
   しかし、スクリーンでは誰よりも大きく輝いていたのです。


  ※  原作者エミリー・ブロンテの姉、シャーロット執筆の
 「ジェーン・エア」も、「嵐が丘」同様とても高い評価を得ている
 作品です~もちろん、感動のおススメ小説・映画です!


 今回は、お嬢様特有(?)の移り気で少しわがまま~裕福でありながら
心は満たされなかったキャサリンを偲んでリクエストします。

☆  She Loves You.  
  (ビートルズのトレード・マークともなった “yeah!” が初々しく、
   全体を通して元気なコーラスを聴かせる初期の不滅のヒット曲!) 

嵐が丘 Book 嵐が丘

著者:鴻巣 友季子,エミリー・ブロンテ
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ☆ 若くして亡くなったエミリー・ブロンテの長編小説であり、登場人物
それぞれの心理を巧妙に描いた古典文学の名作です! 


  ※ なお、頂いたコメント、トラック・バックはスパム対策
   の為(最近多いんです)、確認をさせて頂いてからの
   掲載になります~ご了承下さいませ。

| | コメント (68)

 男はつらいよ

Dsc001521
       

              

           「イラスト - 親愛なる寅さん、さくら、リリー」

 先月より続いた研修がやっと終了し、昨日(15日)の昼過ぎに
静岡から帰宅しました。 いろいろと勉強が出来、仕事に生かしていきたいと思っています。 それにしても約一ヶ月の出張は初めてでしたが、12月には冬期研修がまた予定されているようでコワイ(汗)です・・・ なんとか頑張りますね~。 
    ブログ仲間の皆さん、お久しぶりです~!

 さて、久々の記事の更新です。 研修中、宿舎で夜いくつか映画を観ておりましたが、昨日やっと我が家に帰った心境に共感できる名作を今回ご紹介したいと思います。
 国民的な映画として有名な松竹の「男はつらいよ」――ブログで以前、入院中の友人の好きな映画として記事にしました(こちら)が、あらためて日本映画の金字塔である「寅さん」について補足しながらふれたいと思います。 

 その前に―― 最近の私は近くのレンタル店で100円デーに
大量(?)の作品を借りて
は名作を懐かしく鑑賞しています。 
研修中はレンタル出来ませんでしたが、参加メンバーと何名か親しくなり、幸運にも彼らがなぜか持参していた(笑)名作DVDを貪欲に借りては楽しく過ごしていたのです。
(上司に知れたら一喝されそうですね~、ハハ)
 主にクラシック映画と呼ばれるハリウッド黄金期の作品や、ヒッチコックなどのサスペンス、そして我らが「寅さん」シリーズを研修の勉強そっちのけで(うわぁ~怒られる!)鑑賞していた次第です。
(もちろん、研修後の宿舎でですよ~汗) 
  では、長~い前置きはこの辺で・・・


 皆さんご存知のとおり、「男はつらいよ」は当初 TVドラマ(フジテレビ)として1968年10月~翌年3月までの半年間、放映されていました。 (さくら役は長山藍子)
その最終回では、主役の寅さんがなんと「ハブに噛まれて死ぬ」という悲劇的な最期に、TV局へは視聴者からの多数の抗議の電話が鳴り響いたというエピソードもありました。 そしてそれをきっかけに山田洋次監督をはじめとする制作者側がファンに後押しされるように映画化へと進むのでした―― 。

 主人公の 車 寅次郎 渥美 清…敬称略)は、16歳の時に父とのケンカが発端で家出をします。 ~以来、全国をテキ屋稼業として歩く渡世人として、20年ぶりに故郷の柴又の小さなだんごや 「とらや」(40作目からは「くるまや」)に帰って来るという場面から物語は始まります。 
 この記念すべき第1作目「男はつらいよ」では、柴又に戻って妹のさくら倍賞 千恵子)や おいちゃん森川 信)、おばちゃん三崎 千恵子)らと再会をはたし、また、さくらが「とらや」の裏にある
タコ社長太宰 久雄)の経営する町工場(朝日印刷)で働く
前田 吟)と結婚するというおめでたい印象的な作品となっています。

 この作品からすべては始まりました―― 。 以降、さまざまな
マドンナやゲストが毎回登場し、温かくそして切なく展開していく
「寅さんワールド」に花を添え、深みを与えていくのです。 
 1970年の第5作「望郷篇」では、千葉の浦安にある豆腐屋の
ひとり娘 節子長山藍子)に想いを寄せた寅さんが、その豆腐屋に住み込んで 「額に汗して油まみれに働く」という珍しいストーリーになっています。 また、1972年の第9作と2年後の第13作では、マドンナの歌子吉永 小百合が登場し、私の父も当時熱くスクリーンを観た~と言っておりました(笑)。 その歌子の父親役には、あの「七人の侍」の久蔵――宮口 精二が出演し、これまた話題になりました。(相変わらずシブイです!)

 1972年の第10作目~「寅次郎 夢枕」のお千代八千草 薫)はそれまでのマドンナとは少し違い、寅さんのプロポーズ(勘違いではあったが・・・)を受け入れるという展開が新鮮で、なおさら恋の
行方のすれ違いが切なかった異色の(?)作品でしたね~。 
 以降、第17作での太地 喜和子や第22、34作での大原 麗子など魅力的なマドンナが現れ、その都度「失恋」を繰り返すに至る
絶妙な作品が続きますが、何と言っても忘れてはならないのが
浅丘 ルリ子演じる リリー(芸名:松岡リリー)の存在でしょう。

 第11作「寅次郎 忘れな草」から最終の第48作迄の間にマドンナとして4度登場し(最多は 役の後藤久美子の5回)、当時すでにシリーズものとして国民に認知されていた「男はつらいよ」の中にあって、他のマドンナを寄せ付けないほどの存在感を示していくのです。 
寅さん同様、放浪のフーテン暮らしを続けながら歌い手として生活するリリー。 その勝気で男勝りな彼女は、次第に寅さんの心の中を満たしていく存在になっていくのでした。 
 監督:山田 洋次はリリーをかなり重要なキーマンとして登場させている気がしてなりません――二人の仲はくっつきそうでくっつかない~離れそうでまた巡り逢う、という切ない大人の恋の典型を
表現しているようで、周りは歯がゆく見守りながらも
いつか一緒になるであろう二人の幸せを期待し願ったものでした。

 しかし、「寅さん」に残された時間は残りわずかでした――
1991年の定期健診で肝臓にガンが見つかっていたのです。 
その後の作品では、周囲に悟られないように気を使い、病魔と闘いながらの撮影だったようです。 そして、第48作「寅次郎 紅の花」の撮影を終えた9ヶ月後の1996年8月4日、不世出の俳優
 渥美 清(本名:田所 康雄)は亡くなりました――享年67歳。 

 生前、ロケを終えると関係者とは距離を置き、飲み会などへも顔を出すことがほとんどなかったと言います。 監督の山田洋次さえ個人的な連絡先を知らなかったそうです。 
自身をストイックなまでに追い込んで、「寅さん」のイメージを大切にしていたとも言われ、また孤独を愛した方だったとも言われますが、昭和の空気までも閉じ込めたようなその作品の数々は
古きよき日本の人情や暮らし、そして勢いを凝縮させた
「タイム・カプセル」となって、これからも日本人の心のよりどころ
として魅了していくことでしょう―― 。
 
 寅さんをはじめ、兄想いの素敵な妹さくら、そして優しくとりまく人々の人情に包まれる名作 全48巻――
 秋の夜長に草だんごを食べながら、ぜひ第1作目からのんびりと
 寅さんワールドを堪能してみてはいかがでしょうか~ 。
                            (敬称略)



 リリー  「ねぇ、寅さん。
         どこまで送っていただけるんですか?」

 寅さん 「男が女を送るって場合にはな、
            その女の玄関まで送るってことよ」


                 

              ~ 第48作「寅次郎 紅の花」より ~




     ☆   葛飾 柴又  寅さん記念館



 ☆ 久々の記事でした――不定期ですが地道に(?)更新していきたいと思いますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します~♪

 映画の中ではいつも ふいっと旅に出る渥美さん。
 私も「黄色い潜水艦」に乗って世界の海をふいっと旅行してみた  いですね~(?)、ということで今回の選曲は~

☆ Yellow Submarine.   (当時アニメでも話題になり  ました~芸達者なジョンの効果音も楽しめますね!)

男はつらいよ パーフェクト・ガイド ~寅次郎 全部見せます Book 男はつらいよ パーフェクト・ガイド ~寅次郎 全部見せます

著者:松竹株式会社
販売元:NHK出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

☆ 全48作の名場面